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団地の5階のゆきちゃん

春が近づいてきたからか
あ〜会いたいなぁ〜と
思う人のことを考える。


いつも心に思いうかぶのは
小学校一年生のとき友達になった
ゆきちゃんだ。


ゆきちゃんはちょっと変わった友達だった。


まず苗字が変わっていた。

髪は真っ黒でつやつやしていて背中まで長くて、
結ったりはしない。

顔は色黒で目鼻立ちがくっきりとしていて、大きな目がとてもきれいだった。


普通の赤より濃いめの
エナメル質な赤いランドセルだった。
運動会の踊りで、インディアンの格好をしたときは、誰よりも似合っていた。

走るのも速かった。
実際速かったかどうかはわからんけど、
長い黒髪をキラキラビュンビュンなびかせて走る姿をよく覚えている。


ゆきちゃんはいつもひとりだった。

だから私のことも友達と思っていたかどうかはわからない。




ゆきちゃんは自分のことを
「オレ」という。

そのことについて、当時のわたしはなんとも思っていなかった。
どこかの方言、オラさ、みたいな感じに受け止めていた。


ゆきちゃんはたぶんどこかから引っ越してきた子やったと思う。
小学校に入ったらいきなり居た、から。
小学一年生の記憶なんて
曖昧で、そんなに多くはないけれど、
その中でもゆきちゃんと遊んだという記憶があるというのは

何かしら小さいなりに感じていたんやろうなあと思う。



ゆきちゃんは近所の団地に住んでいた。
帰る方向が同じやから、
一緒に帰ることもあったのかもしれない。
なにせゆきちゃんは謎な女の子やったから、遊んだりしたのもきっと数回のことやったと思う。
それにその頃わたしにはとても仲の良い友達がいたからその子といつも遊んでいた。


でもある日
なぜかゆきちゃんとふたりで遊ぶことになって、
なぜかゆきちゃんがお家に連れて行ってくれた。

友達のいないゆきちゃんが
わたしを家に入れてくれたことが
とてもうれしいと思ったような気がする。

それにゆきちゃんの家は団地の5階だった。
団地っ子のわたしの家は二階。
最上階の5階というのはよくわからん
なんとなしの憧れがあった。
未知の世界、のような。



そしてゆきちゃんの家の中は
驚くほどスッキリとしていた。


薄いピンクの絨毯が敷かれているリビングダイニングは
これは異国、、と思った。

そのリビングを通って、
ベランダに通してもらった。

そのベランダからは
いつもの公園が見下ろせた。
たくさんのいつも通りの子どもらが
こちらに気付くこともなく
いつも通りに遊んでいた。




初めて観る最上階からの風景だった。
その眺めや吹き抜ける風の気持ち良さや異国の部屋は
当時のわたしの心にペタリ??
と貼りついた。


ゆきちゃんのお家に行って知ったことは、
ゆきちゃん家にはテレビがないことだった。

テレビがない、の意味があまりよくわかっていなかったようにも思うけど、
とても納得したような気もする。




お家に行かせてもらえて
ゆきちゃんがすこしわかったような感じがとてもうれしかった。


それからとくに
仲良くなった、ということもなく、
オレオレと言って、走り回っていたような気がする。




そして二年生になったら
ゆきちゃんは引っ越していなくなってしまっていた。




わたしの記憶では。


記憶が曖昧なのか
二年生になってももしかしたらゆきちゃんは居たのかもしれんし、


もしかしたら最初からゆきちゃんは
居てなかったんかもしらん。




ゆきちゃん、
今どこでなにしてるやろなあ〜



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  • 2017.03.05 Sunday
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